知財(商標)の模範事例、アジア美容機器メーカーが自社商品・技術を模倣されて起訴 | IP PLUS+

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知財(商標)の摸倣(冒認)事例、自社商標を提携代理店が勝手に権利化、どのように対応すべき?

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自社商品や技術が模倣されて訴訟となる?などの事態は大手企業だけのことだと思っていらっしゃいませんか?

どんな小さな情報でも入手できるようになった今、係争などの経験の少ない中小企業のブランド名やデザインの模倣被害が増えています。

今回のコラムでは、知財(商標)を先行してとれなかったために起きている具体的な事例をお伝えしたいと思います。(商標や商品等は仮称です)

美容機器メーカーA社、アジアや欧米で商標出願

A社は日本企業で、1980年代より美容機器の販売を行い、日本でも商標権「ココロ」(片仮名文字商標)を有していました。

2009年には文字商標「ココロ」を新たにロゴデザイン化した商標も出願権利化し、※マドプロ出願で中国、韓国で権利化もしました。

その頃から、国際展示会等にも出展し、中国や韓国からの引き合いもあり、日本の商社を介し、各国代理店と事業を進めてきたそうです。

外国への販路拡大に伴い、片仮名商標「ココロ」ではユーザーが判読できないため、「COCORO」として日本で2016年に登録、その後マドプロ国際商標登録出願を行いました。

出願指定国は、中国、韓国、香港、米国、欧州等です。

マドプロ国際登録商標出願は、出願は日本官庁からWIPOへ一括で出願可能ですが、審査は各国で行われます。

各国審査が行われ、中国の審査通知を受領。すると、美容機器分野で同一先行登録商標が存在しており拒絶という内容でした。

商標権者を確認してみると、なんと自社の中国・香港代理店でした。

幸い、中国・香港の代理店社長は、A社に非常に協力的であったため、特に交渉等必要なくあっさりとA社に権利を譲渡してくれました。

巷では、数千万円でなら譲渡する・・・と要求されているケースが頻繁に起きている中、これはA社の代表の人徳もおありと思いますが、非常に稀なケースです。

※マドプロ出願とは?

商標の国際登録について定める国際条約であり、正式にはマドリッドプロトコル(マドリッド協定議定書)という。複数国に出願したい場合、日本の特許庁に 国際商標出願を一括で行うことで、各指定国に直接出願した場合と同等の効果を得ることができる制度。国際商標番号が付与された後、出願時に指定した国毎に審査が行われ、登録されるとマドプロ国際商標として一括管理が出来るという、複数の国での権利化を希望する企業等にとっては非常に利便性の高い外国商標出願制度。(※日本の基礎出願/登録商標が必須)

※WIPOとは? (World Intellectual Property Organization)

世界知的所有権機関のこと。国際的な知的所有権や知的財産権の保護を目的とする団体。

韓国でもすでに権利化されていた。

香港、中国は譲渡手続きを行ったことで権利化出来そうと安堵していた矢先に、今度は韓国審査において、仮拒絶理由通知が発行されました。

確認してみると、今度はA社の韓国代理店がハングル文字「ココロ」商標を出願権利化しており、それが称呼類似となり仮拒絶となりました。

韓国代理店がハングル文字「ココロ」商標を出願したことを、A社は出願前にも権利化後にも報告は一切受けていませんでした。

こうなるとA社としては、自社のマドプロ韓国商標「COCORO」を権利化するためには、ハングル文字「ココロ」の商標権を譲渡してもらい、拒絶理由を解消するしかありません

韓国からの譲渡費用1500万円!?

A社が早速譲渡の打診をしたところ、韓国代理店は譲渡するならまずは同ハングル文字「ココロ」商標の価値算定をしたいから、その費用を出すように!と請求してきました。

常日頃より非常にジェントル(紳士)な姿勢でいらっしゃるA社は、譲渡してもらうためには致し方ないとの判断で、調査費用を負担し、調査結果を待ちました。

そして、調査報告書を見て愕然、商標は2000万円の価値だと書かれていたのです。

調査結果を踏まえ韓国代理店は、少し値引きして1500万円で譲渡すると要求してきました。

その韓国代理店とビジネスをやってきた結果、韓国市場の売り上げは大きくは伸びず、8年間合計で約300万円程度なのに、商標譲渡に1500万円必要。

韓国市場をあきらめなくてはならないのか

こういった状況の中、A社は弊所にご相談にいらっしゃいました。

日本では美容業界における商標ライセンス料は売り上げの1-3%を想定とするのが一般的とした場合、数十万円+商標取得費用が妥当である旨、A社の社長にご説明申し上げ、社長はその旨韓国代理店に事細かに説明しました。

しかし、譲渡金額が乖離しているため、交渉は平行線に。そうこうする内に、なんと韓国代理店は、A社が保有しているマドプロ韓国商標「ココロ」に対し、不使用取消審判を請求。

※不使用取消審判とは?

一定期間使用していない他人の商標登録の取消を請求する手続きのこと。

先のA社のマドプロ韓国「COCORO」への応答期限は延ばせる限り延ばし、交渉を行ってきたものの交渉は難航、さすがに応答期限延長も限界に至り、泣く泣く韓国代理店が保有する商標の指定商品(A社にとって主要商品)を削除する応答手続きを行いました。

A社としては平和的解決を望んでいたものの、このままでは韓国市場を完全に諦める、若しくは不信感がある代理店を介してしかビジネスが出来なくなってしまうため、こうなると韓国代理店が仕掛けてきた不使用取消審判には応答しなくちゃならない、韓国代理店に対してアクションを起こさない訳にはいきません。

仮に韓国市場を放棄するという決断をされたとしても、韓国代理店若しくは韓国代理店がその商標を第三者に譲渡して、そこから粗悪模倣品が出回るリスクもないとは言えません。

平和的解決どころか、時間もコストも、更なるリスクも抱えるという非常に厳しい状況に現在も直面されています。

まとめ

ご存知のとおり、美容業界、化粧品業界等、ブランドは非常に重要であり、そのブランドが認識され商品売買されるマーケットです。

外国事業を始めた際に困ったことが起きないためにも、模倣対策をしっかり行いましょう。

何か不安があれば、直ぐに専門家に相談されることをお奨めします。

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