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EC事業のリスクと海外知財対策&活用

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躍進するEC事業

日本もようやくコロナ収束の兆しが見えてきたように思えますが、2年余りのコロナ禍において躍進した事業として最たるものの1つはEC事業でしょう。

EC事業とは

ECは英語のElectronic Commerceの略称で、電子商取引のこインターネット経由で契約や決済をし、物やサービスを提供する事業

多かれ少なかれ、皆さんも、Amazonや楽天などのオンラインショッピングサイトを使用されたことがあるかと思います。物品販売の他にも、旅行や飲食店の予約、保険の契約など、コンサートや演劇のチケット販売等さまざまな形態のEC事業があります。

EC事業というと、以前は大手企業の占有的な要素も高かったですが、BASEやSHOPIFYなど容易に比較的廉価でオンライン上に出店できるようになったことなども大きく起因して、個人事業主や中小企業の参入も大幅に増えました。そして、まだ若者世代が中心ですが、もはや実店舗を持たずオンラインのみで事業を展開する事業者も増加中です。

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省

そして、そのEC事業の広報役を担っているのが、Instagram、Facebook、Twitter、TikTok、LINE Voom等のSNSになり、SNSのマーケティングを制す=俗にいう「バズる」と、一気に広がりを見せるのがECの世界です。

権利国内だけでよいのか

知人でも実店舗は持たず、オンラインのみで自社開発スポーツ商品を紹介し売り上げを伸ばしている方がいらっしゃいます。その方は比較的知財(知的財産権)についてご存じでしたので、世間に商品やブランドを紹介する前から商標登録を、またデザインについても多少なりとも第三者の模倣をけん制するために意匠登録を行っていらっしゃいました。

でも、予算に限りがあったことと、まずは日本を市場としていたため、日本でのみ権利化されたのですが、流石にSNS、特にInstagramやFacebookは世界との繋がりが強く、フォロワーや友達申請にも様々な国のユーザーが含まれていて、「この商品どこで買える?」「カナダで売りたいのだけど」といったような問い合わせが増えてきて、これは早く海外でも出願権利化しなければ!と少し慌てている、と話をされていました。

もちろん、このお話を伺った時、「外国も早めに権利化した方が良いですよ。誰かに先行されてしまうと厄介です。コストも時間もかかってしまい、第三者がその国で例えば貴社の商標を権利化してしまうと、その国で販売が出来ない、もしくは商標のライセンス契約が必要になる等、事業成長の足かせが出来てしまうリスクがあります。」とお伝えしました。

知的財産権というと、どうしても権利行使!というイメージが先行しますが、商標にしても、意匠にしても、まずは自社が安心して事業ができる!事業成長の足かせとなる原因を軽減すること、それが知的財産権を取得する最大のメリットです。

EC事業とは世界が市場であることをお忘れなく!

そのため、EC事業、SNS、インターネット上で公開されていることは世界につながっていることを念頭に、日本だけではなく、できれば将来的に市場となり得る国での知的財産、特に商標は優先して権利化していくことを強く強くお勧めしています!

 

外国出願はコストが心配?

とはいっても、一個人事業主様や中小企業様にとって、複数国で商標を権利化することは資金面においては結構厳しいのも事実だと思います。そんな時にお奨めしているのが、助成事業の活用です。

◆東京都の企業であれば、東京都の知的財産権外国出願助成事業、

外国商標出願費用助成事業|東京都知的財産総合センター (tokyo-kosha.or.jp)

◆各自治体が行う、特許庁の外国商標出願助成事業

外国出願に要する費用の半額を補助します | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

◆JETROが行う外国出願費用の助成(中小企業等外国出願支援事業)

外国出願費用の助成(中小企業等外国出願支援事業) | ジェトロのサービス - ジェトロ (jetro.go.jp)

等、外国出願を助成してくれる事業がいくつかあります。(※商標のみならず、特許、意匠、著作権等の助成事業があります。)

申請要件や助成対象となる経費等に若干違いがありますが、申請し交付対象となった場合は、概ね出願時費用の半額程度(商標/意匠は上限額60万円/1件)を助成してくれる制度ですので、活用しない手はないと思います。弊所では多くのサポート実績がありますので、お気軽にご相談ください。

知的財産権の活用って?

さて、費用も時間も投資して得た知的財産権ですが、その後の活用について考えたことはありますか?

権利化したら、登録証を金庫に大切にしまっておく?ではあまりに勿体ないです。せっかく権利化したのですから、活用していかなければ意味がありません。活用とは、知的財産権を会社の利益につなげていくことです。知的財産自体が財産ではありますが、更に利益につなげていくには、大きく分けて3つの活用方法があります。 

知的財産権の事業への3つの活用

 模倣対策

他社の参入をけん制市場の独占率アップし、価格の維持や利益率を拡大

 提携・協力

知的財産権を有していることでの事業者としての信頼と安心感、また独自性に対し、積極的な協力者や提携者が現れ、コラボ商品の開発やコラボすることでの市場の広がりと、利益拡大

 資金調達

自社の商品やデザイン、ビジネスモデルを見える化したものの一つが知的財産権なので、投資家やVCでも理解を得やすく、資金調達の可能性を広げることも可能

東京証券取引所が発表した「コーポレートガバナンス・コード」では「知的財産情報の開示」と「知的財産への投資について監督する取締役会等」の義務が明記されました。投資候補先の企業がどのような無形資産を保有しているか、それが企業価値にどのように貢献しているかに投資家は関心をもっています。

この3つの活用を意識して知的財産権をアピールしていくことが権利化しただけで終わらない方法です。ですから、自社の販促ツール、例えばホームページ、SNS、カタログ、商品タグ等で、自社の知的財産権について発信してください。

皆さんもご覧になったことがありますよね?「®」マーク。これは「商標登録済み」を意味します。特許だと、米国では「pat.×××」といったような表現もあり、日本でもこういった表記でも問題ないので、権利化済みであることを積極的に表記していきましょう。

外国の企業ではホームページ等で知的財産権保護について丸1ページ割いているところも多くあります。

これは、上記の活用に対する積極的なアクションであり協力者や提携者、また投資家やVCに対しても積極的な交渉に繋げやすいですし、企業価値を高める役割も担っていると考えます。

是非皆さんにも取り組んでみてください。

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